営業職や販売員、コールセンターのオペレーター、医療従事者など、人と直接関わる仕事は、お客様や患者からの感謝を直接受け取れるやりがいがある反面、理不尽なクレームや要求によって心を深くえぐられてしまうリスクを抱えています。自分が悲しい時や腹が立っている時でも、その感情に蓋をして笑顔を作り、丁寧な対応を続けることは多大な心理的エネルギーを消費します。クレームを受けた後、仕事が終わってもその人の怒鳴り声が耳から離れなかったり、休日に電話の着信音が鳴るだけでビクッとしたりするようなら、かなりのストレスダメージが蓄積している証拠です。
このような対人ストレスから身を守るための重要な対処法が、心理的な「バウンダリー(境界線)」を意識的に引くことです。
相手が怒っているとき、真面目で責任感の強い人ほど「自分のせいだ」「自分が至らないからだ」と感情移入してすべてを受け止めてしまいます。しかし、「相手の怒り(課題)」と「自分の責任(課題)」は切り離して考えなければなりません。
「私は会社のルールに則ってベストな対応をした。相手がどう感じるかは相手の問題だ」と、心の中に透明なシールドを張るイメージを持つことが大切です。
また、負の感情を引きずらないための「切り替えの儀式(ルーティン)」を持つのも効果的です。例えば、嫌な対応が終わった後は必ず手を石鹸で洗って「物理的に汚れを洗い流す」イメージを持ったり、冷たい水を一口飲んで大きく息を吐き出したりするだけでも、脳のスイッチは切り替わります。
仕事用の自分という「着ぐるみ」を脱いだら、オフの時間は自分の好きなことだけに没頭し、傷ついた心をしっかり労いましょう。なかでも、日々命や健康と向き合う過酷な感情労働を担っている看護師の方で「どうしても心が晴れない」と悩んでいる場合は、ぜひ看護師特有のスランプや心の疲れをケアするための情報サイトなども参考にし、ご自身を守るためのヒントを探してみてください。